タイヤの4大機能
タイヤはクルマの足として特別な役割を担っています。
さまざまな種類のタイヤも、すべて基本的機能のバランスを確保したうえで、クルマの高性能化や社会環境、使用条件に応じた性能特性を与えられて開発されています。
荷重支持機能
重みを支えます。
車体や乗員・積荷の荷重を支える働きです。
制動・駆動機能
パワーを伝えます。
エンジンからの駆動力を路面に伝えて発進や加速・減速させたり、ブレーキのパワーを路面に伝えて車体を制動させる働きです。
緩衝機能
ショックを吸収します。
走行中に路面の凹凸によって発生する衝撃を吸収して、緩和する働きです。
進路保持機能
方向を転換・維持します。
行きたい方向に曲がったり、直進を保つ働きです。
タイヤの4大機能にプラスされる3つの基本性能
1. 経済性
耐摩耗性・ころがり抵抗の低減
2. 安全・耐久性
耐外傷・耐衝撃性・耐疲労性・耐熱性
3. 居住性
タイヤの騒音や振動(N.V.H)の低減
N:ノイズ V:バイブレーション H:ハーシュネス
さらに最近では、環境性能も重視されてきています。
ころがり抵抗の低減 → 燃費の向上 → CO2の排出量低減
タイヤサイズの表示
タイヤ側面には、サイズ・構造・ブランド名などの情報が表示されています。
- 断面幅の呼び(mm)
- 偏平率の呼び(%)
- タイヤ構造記号(ラジアル)
- リム径の呼び(インチ)
- ロードインデックス
- 速度記号
- 断面幅の呼び(インチ)
- タイヤ強度(プライレーティング)
ラジアルタイヤ(ISO表示)
ラジアルタイヤ(従来の表示1)
ラジアルタイヤ(従来の表示2)
バイアスタイヤ
偏平率
偏平率は80>70>65>60>55>50>45>40(%)と小さくなるほど、タイヤの高さに対してタイヤ断面幅が広くなることを示します。
ロードインデックス(LI・過重指数)
ロードインデックスとは、タイヤ(一本)にかかる重量を支える能力(最大)を負荷能力といい、この負荷能力を指数であらわしたものがロードインデックス(LI)です。
ロードインデックスは、タイヤサイズの中に表示されています。
ロードインデックスと負荷能力の関係
LI | 荷重(kg) | LI | 荷重(kg) | LI | 荷重(kg) | LI | 荷重(kg) | LI | 荷重(kg) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
76 | 400 | 88 | 560 | 100 | 800 | 112 | 1120 | 144 | 2800 |
77 | 412 | 89 | 580 | 101 | 825 | 113 | 1150 | 145 | 2900 |
78 | 425 | 90 | 600 | 102 | 850 | 114 | 1180 | 146 | 3000 |
79 | 437 | 91 | 615 | 103 | 875 | 115 | 1215 | 147 | 3075 |
80 | 450 | 92 | 630 | 104 | 900 | 136 | 2240 | 148 | 3150 |
81 | 462 | 93 | 650 | 105 | 925 | 137 | 2300 | 149 | 3250 |
82 | 475 | 94 | 670 | 106 | 950 | 138 | 2360 | 150 | 3350 |
83 | 487 | 95 | 690 | 107 | 975 | 139 | 2430 | 151 | 3450 |
84 | 500 | 96 | 710 | 108 | 1000 | 140 | 2500 | 152 | 3550 |
85 | 515 | 97 | 730 | 109 | 1030 | 141 | 2575 | 153 | 3650 |
86 | 530 | 98 | 750 | 110 | 1060 | 142 | 2650 | 154 | 3750 |
87 | 545 | 99 | 775 | 111 | 1090 | 143 | 2725 | 155 | 3875 |
スピードレンジ(速度記号)
タイヤがそのロードインデックスにより表示された質量を負荷された状態において、走行可能な最高速度を記号によって表したものです。
タイヤ構造 | タイヤ表示 | タイヤ構造 | |
---|---|---|---|
速度記号 | 速度カテゴリー | ||
ラジアル | L | 120 | |
Q | 160 | ||
S | SR | 180 | |
H | HR | 210 | |
V | 240 | ||
ZR | 240超 | ||
W | 270 | ||
Y | 300 | ||
(Y) | 300超 |
※速度記号が表示されていないタイヤの場合
ラジアルプライ
- 160km/h
バイアスプライ
- リム径10インチ 120km/h
- リム径12インチ 140km/h
- リム径13インチ以上 150km/h
高性能タイヤの回転方向や装着位置を示す表示
方向性のあるトレッドパターンを持つ乗用車用タイヤには、回転方向を示す「ROTATION」の文字と、矢印が表示されています。排水効果を向上させ、運動性能でも優れた性能を発揮させるためのものです。
内側と外側のトレッドパターンを変えて、総合性能を高めているタイヤには、左右非対称パターンであることを示す文字や記号が表示されています。
外(OUT)側でドライ性能を、内(IN)側でウェット性能を発揮する非対称方向性パターンのタイヤには、その両方の文字や記号が表示されています。
その他の表示
ホイールアライメント
タイヤはホイールとセットされてクルマに取り付けられ、サスペンション機構として足まわりを構成しています。
とくに前輪のホイール(タイヤ)には、車体と路面に対して接地性や操縦安定性を維持するために、下記の4種類の異なる角度が設定されています。これをホイール・アライメント(Wheel Alignment)といいます。
キャンバー
荷重がかかることでホイールが下開きしないよう(ハンドルが重くならないよう)、あらかじめ上開きにしてあります。
ポジティブ・キャンバー
前から見て逆ハの字型(通常の設定)
ネガティブ・キャンバー
前から見てハの字型(特殊な設定)
※過度のポジティブ・キャンバーの設定はタイヤの外側を早く摩耗させます。
トー角度
ポジティブ・キャンバーのある前輪は、そのままだと走行中に前開きになろうとする(キャンバー・スラスト)傾向があるので、直進性を保つためにあらかじめ内股状態(トー・イン)に調整してあります。
過度に設定するとタイヤはフェザーエッジ摩耗します。
キャスター角度
ポジティブ・キャンバーのある前輪は、そのままだと走行中に前開きになろうとする(キャンバー・スラスト)傾向があるので、直進性を保つためにあらかじめ内股状態(トー・イン)に調整してあります。
過度に設定するとタイヤはフェザーエッジ摩耗します。
SAI(操向軸)角度
路面からの入力によるハンドルのとられを減少させるため、前輪軸を前車軸に連結するピン(ボルト)に付ける傾斜角度のことです。
ホイール・アライメント・テスター
ホイール・アライメントは、タイヤ、ホイールをインチアップしたり、前輪を縁石にぶつけたりすると微妙に狂います。操縦安定性の維持とタイヤの異常摩耗を防ぐためにホイール・アライメント・テスターで点検し、調整をしましょう。リアタイヤにもアライメントが設定されているクルマが多くなっているため、前輪後輪すべてのアライメント・チェックが必要です。
ステア特性
アンダーステア
旋回円の外側に外れていくため、ハンドルを切り増しする必要のある旋回特性です。一般に、弱アンダーステアが安定性が良く操縦性が良い(ドライバーにとって安全である)といわれています。
アンダーステアになる要素
前輪タイヤCP<後輪タイヤCP
オーバーステア
旋回円の内側に外れていくため、ハンドルをもどす必要のある旋回特性です。
オーバーステアになる要素
前輪タイヤCP>後輪タイヤCP
ニュートラルステア
走行速度に関係なく元の旋回円を走行する特性です。
ロープロファイル化
クルマをドレスアップする時の基本ともいえるロープロファイル化(偏平化)。
一般的にはインチアップと呼ばれています。
ドレスアップ効果も当然ですが、走行性能の向上も大きな魅力です。見た目には内径が大きいほどカッコいいのですが、他の性能が犠牲になる場合もありますので、ドレスアップ効果と走行性能・快適性能、さらにクルマとのマッチングを考えてサイズを決めていただければ、きっと満足がいくインチアップができるでしょう。
ロープロファイル化の際の留意点
ロープロファイル化は、コーナリング・フォースが大きくなり、ころがり抵抗も少なくなるので、タイヤの運動性能の高性能化と言えます。また同じ外径のタイヤで偏平にするほど断面高さは低くなり、ホイール径は大きくなるのでファッション性が増すことにもなります。
ロープロファイル化の際の留意点
-
タイヤの外径を合わせる(合わせないとメーターが狂います。)
※カタログのタイヤサイズ対応表などを参照して下さい。 -
フェンダーなどとの接触や、回転部分の突出がないことを確認する
※停止状態ではなく、荷重が大きいときや、バンピング時でも接触しないことを確認します。 -
タイヤの荷重指数(ロードインデックス)が標準装着タイヤより低下しないこと
-
サスペンション剛性とのバランスを崩すようなロープロファイル化は避けること
※足回りトータルでのバランスが大切です。